前回までは "使いやすさ"のはなし” として、一般的にユーザビリティを高める手法について紹介しました。
今回は、弊社製品のKeiganALIの、ユーザビリティを高めるための工夫点を紹介したいと思います。
KeiganALIの設定画面は、Webブラウザを介してウェブアプリをブラウザで閲覧しています。Webページを製作する要領とほぼ類似しますが、例えば下記の工夫点があります。
ユーザーの作業手順に対応して画面遷移を設計
KeiganALIを運用するまでの作業手順は、以下の通りとなります。一般的なSLAM方式のAMRと同様になります。
1.マップ作成 機体に走行領域の地図データ(点群データ)を記録させます。
2.自己位置設定 記録させたマップ上で、機体の位置・姿勢(x,y,Θ)を入力します。
3.マップ編集 マップ上で形状の修正(点群の追加や削除)を行います。
4.タスクセット作成 走行の開始点・終了点・各地点での動作(タスク)を設定します。
5.運用ボタン編集 タスクと操作ボタンを紐づけます。
6.運用 操作ボタン・地図が表示されます。
この手順に対応して、操作画面上のメニューバーや設定ボタンを、上から下、左から右へと配置します。
情報の分類・階層構造・表示ルールを統一する
情報の階層構造を統一化し、これがないと設計者の意思がユーザーに正しく伝わらず、操作がしにくくなってしまいます。
操作画面を見えやすくする配慮として、1画面に情報を詰め込みすぎない、見出しタグやボタンを強調するなどが工夫点として挙げられます。
カスタマイズ性をもたせる
ユーザーに応じた操作手順へ最適化できるよう、ユーザー自身がメニューをカスタマイズできるようにします。
KeiganALIでは、運用画面で表示するボタン名称を設定したり、運用画面でマップデータの表示切替をしたりなど、ユーザーが作業しやすいようカスタマイズを意識して表示切替ができるようにしています。
この他にも、下記のような改善点が挙げられます。KeiganALIのUIも改善点はまだまだありますが、ユーザーの動作・運用を観察しながら、ニーズを掘り起こし、今後のファームウェアアップデートに合わせて改善していきます。
画面遷移の明確化と経路の冗長性をもたせる
ユーザーが操作を誤ったり、設定を戻す場合に、操作に手戻り作業が発生します。
現在の手順が全体の手順の中で、何番目の手順なのか?何を目的にしているのか?、意図した操作画面に円滑に遷移する手順は何か?を明確化する必要があります。また、単一の経路だけではなく、複数の経路を持たせることにとって、意図した画面に素早く遷移することができます。
今回のシリーズでは、「使いやすさ」について考察しました。ユーザーのお困りごとを探索し、感動を持ってもらえるレベルで使いやすい製品を生み出すことは、設計者にとっては永遠のテーマですが、絶えず追求していきたいと思います。