高橋正樹 | Masaki Takahashi
2024-02-29
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前回 "使いやすさ"のはなし②” で、ユーザビリティとUI・UXの違いについて触れました。

今回は、ユーザビリティを高めるための手法について述べ、KeiganALIのUIをご紹介しながら、どのような観点工夫しているのかを紹介します。

設計者(作り手)・ユーザー(使い手)のイメージ

  • 設計者が製品に対してイメージするモデルを、”デザインモデル”と言います。設計者の意図や配慮、製品に込める想いとも言えます。
  • ユーザーが製品に対してイメージするモデルを、”メンタルモデル”と言います。

この2つのモデルに、ギャップが生じることがあります。

ユーザーが製品を使用した際に、ユーザーが使用する前に抱いていた期待以上の価値を感じた際には、ポジティブなギャップが生み出されます。これは、製品がユーザーに”感動”をもたらす状況とも言えます。

反対にネガティブなギャップが発生している状況もあり得ます。「思っていたよりも使いづらい」「機能を果たしていない」など、製品がユーザーが期待していた価値を提供できずに期待を裏切る場合もあります。設計者は、このネガティブなギャップが生み出されないように注意を払わなければなりません。

人間中心設計モデル

ユーザビリティを高める一般的な手法として、人間中心設計 HCD(Human Centered Design) があります。文字通り、人間を中心としたモノづくりの設計プロセスです。

この考え方は、ISO13407「人間工学-インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス」により定義され、JIS Z 8530としてJIS規格に翻訳されています。

さらに、製品をユーザーが使用していく過程において、作業の習熟度が向上したり、使いやすいように製品をカスタマイズしたりします。このようなUXの概念が取り入れ、ISO13407が改定されて、ISO9241-210 が制定され、2019年に改定されて現在に至ります。

(JSA Web Store 企画詳細情報 ISO9241-210:2010より)

インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス

HCD の進め方の基本は、製品の構想段階から対象ユーザーとその要求を明確にして、要求に合ったものを設計し、満足度合いを評価し、ユーザーの要求が満たされるまで繰り返します。このプロセスを通して、デザインモデルとメンタルモデルのギャップを埋めていくこととなります。

HCDの主要な活動 必要な技術
① 利用状況の把握と明示 ユーザーの要求を知る技術。製品に対するユーザーお困りごとを把握する。
② ユーザーと組織の要求事項の明示 ユーザー要求をシステム要求に変換する技術。把握した状況を具体的なニーズに変換する。
③ 設計による解決策の作成 デザインや設計案を作り込むための技術。ニーズを解決するための技術的な手段に変換する。
④ 要求事項に対する設計の評価 デザイン・設計案の妥当性を評価する技術。具現化したデザイン・設計案を評価する。

参考及び引用文献
  1. JSA Web Store 企画詳細情報 ISO9241-210:2010,JIS Z 8530 人間工学-インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス
  2. 特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構 HCDのプロセスと手法
  3. 人間工学とユニバーサルデザイン (ユニバーサルデザイン研究会編、日本工業出版)

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この記事を書いた人


約20年間、電機メーカーで生産システムの開発、新規事業・新工場の立ち上げに従事。
先進的なロボット開発と伝統的なモノづくりを融合し、新たなムーブメントを起こすべく、2022年からKeiganで活動。
ロボットシステムの導入や営業活動を主に担当。自身の専門分野の幅を広げ深掘りしながら、技術ブログを執筆中。

高橋正樹 | Masaki Takahashi