前回 "使いやすさ"のはなし①" で、ユーザビリティの定義について触れました。
ユーザビリティと類似している言葉として、UIやUXが挙げられます。いずれもユーザーを意識した「使いやすさ」に関する用語であり、今回は少し詳しく紹介します。
UI(ユーザーインターフェイス)
UIとは、ユーザーインターフェイスの略称で、ユーザーと製品の間に存在する”接点”です。ユーザーの意図を製品に伝える一方、製品の状態をユーザーに伝える媒体です。ユーザーの視覚・聴覚・触覚に触れる、ボタンやスイッチ、モニター、マウス、カーソル、ハイパーリンク、音声などすべてが含まれます。近年は、人の心拍数や血圧、視線などを検知するバイタルセンサーや、デジタルツインと融合できるゴーグルなども普及してきています。
人間-機械系(ヒューマン・マシン・インタフェース:HMI)の5つの側面
具体的には、下記の5つの側面に分解することができます。
1.身体的側面
ボタン配置が適切か?操作に無理はないか?
2.頭脳的(情報的)側面
ユーザーの思考プロセスに即しているか? 表示が分かりやすいか?
3.時間的側面
製品の応答時間・ユーザーの作業時間や休憩時間が適切か? ユーザーが許容できるか?
4.環境的側面
温度・湿度・空調・明るさ・振動・騒音・臭気など、製品の使用環境をユーザーが許容できる?
5.運用的側面
運用面への支援が適切か、情報の共有、事故防止、円滑なサービスをユーザーが享受できるか?
これらの5側面からHMIを具体的にとらえ、ユーザーが製品に触れた時の行動観察したうえで要求事項に変換し、製品コンセプトを構想していくことが重要となります。
UX(ユーザーエクスペリエンス)
UXとは、ユーザーエクスペリエンスの略称で、製品を通じてユーザーが得る体験を指します。ユーザーが目的を達成する過程全体(購入~利用~廃棄)を通じて、ユーザーが体感する印象もUXと捉えられ、とても抽象的な概念です。
ユーザビリティはUI・UXを改善する指標のひとつ
具体的に開発や設計の作業にブレークダウンしていくためには、このような観点から現状を捉えて分解していくことが必要です。
製品のUI・UX改善の具体的な手段として、ユーザビリティを細かく分解し、具体的に開発課題に落とし込むことが重要となります。
では、どのようにしてユーザビリティを高めていけばいいのでしょうか?
次回は、ユーザビリティを高めるための手法について述べたいと思います。
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