高橋正樹 | Masaki Takahashi
2024-02-08

 今回は、"搬送システム"について考えてみたいと思います。 

生産システム検討の進め方

 皆さんは、“搬送システム”と聞いて、何をイメージされるでしょうか? 日常生活の中で、モノを運ぶ場面は意外に多く、思いのほか長い時間を費やしています。モノづくりの現場においても、製品や材料・梱包材、廃材といった“モノ”を運ぶ作業は数多くあります。

 しかしながら、生産システムを検討する際に、”搬送システム”を検討する優先順位は最後になってしまいがちです。加工・組立・計測検査といった工程は、製品への付加価値が高く検討時の優先順位が高いのですが、搬送工程事態の付加価値は見えづらく後回しになりがちです。搬送工程(局所的には搬送動作)を無くしたり減らしたりすることをまず考え、その後に残った工程として搬送工程の検討に入ることが多くあります。

搬送システムの役割や価値は?

一方で、生産システム全体の稼働率や仕掛在庫といった観点からを考えると、搬送工程も重要な役割を果たしていることが分かります。最適なタイミングに、最適な量のモノを工程間で搬送することは、稼働率向上や仕掛在庫の圧縮につながります。さらに、各工程のサイクル動作を同期する(ラインバランスをとる)ことができるため、各工程の稼働率が平準化され、結果として不良率低減にも効果が出てきます。トヨタ生産方式における、“JIT(ジャストインタイム)”・“ムリ・ムラ・ムダの排除”によって、強靭な生産システムを実現することができます。このように、搬送工程も他の工程と同じくらい慎重に検討すべき工程なのです。

 

搬送システム3方式を比較検討

ここでは、搬送工程を担当する“搬送システム”として、コンベヤ・AGV(Automated Guided Vehicle) ・AMR(Autonomous Mobile Robot)の3方式を比較し、それぞれの特徴を整理したいと思います。なお、水平方向への搬送のみを想定し、垂直方向への搬送システムである、いわゆる縦コンベヤやエレベーターは、含みません。

 搬送システムを検討するうえで、まず何をどのタイミングでどのように運ぶのか?仕様を明確化します。可搬重量・搬送速度といった基本的な要件を数値で把握したうえで、方式や機器選定をスタートします。

 コンベヤは最もシンプルで安価な方式であり、搬送システムを検討する際に真っ先に検討する手段でしょう。ただし、コンベヤと一口で言っても、駆動方式やワーク把持の方式によって、多様な形態があります。さらに、駆動源を人力や重力を利用する、いわゆる“カラクリ”を考案することでさらにコストを抑えることができます。

 次に、エリアが狭小であったり・動線が曲がりくねっており直線箇所が短いなどの制約があった場合に、AVGやAMRを検討していきます。さらに、レイアウト変更の頻度・人との協調作業の有無などにより、AMRを選択していきます。 

 どの方式も、メリット・デメリットがあり、総合的に比較検討したうえでシステムを構築することが必要となります。

Keigan製品を使うならば

 弊社では、Keiganモーターを用いた搬送ローラーAGVKeiganALIという製品ラインナップがあり、今回ご紹介した、コンベヤ・AGV・AMRの3方式の搬送システムのいずれも利用することができます。みなさまお考えの用途に応じて、採用をご検討ください。

 さて、次回は展示会に出展させていただきましたデモ用の搬送システムの事例を紹介させていただきます。ぜひご覧ください。

この記事を共有する
ニュースレターを購読する

一歩先を行く情報を手に入れよう。
最新のインサイトをお届けします

お問い合わせいただきありがとうございます!
ご送信内容を受け取りました。追ってご連絡いたします。
何か問題が発生しましたが、ご安心ください。すぐに対応します。もう一度フォームを送信してください
この記事を書いた人

京都大学大学院 工学研究科精密工学修了。
約20年間、電機メーカーで生産システムの開発、新規事業・新工場の立ち上げに従事。
先進的なロボット開発と伝統的なモノづくりを融合し、新たなムーブメントを起こすべく、2022年からKeiganで活動。
ロボットシステムの導入や営業活動を主に担当。自身の専門分野の幅を広げ深掘りしながら、技術ブログを執筆中。

高橋正樹 | Masaki Takahashi