高橋正樹 | Masaki Takahashi
2024-02-15
目次
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さて今回は前回に引き続き、展示会で出展しましたデモ用搬送システムの内容となります。設計・製作時に工夫した点を整理します。

ユニット間受け渡し箇所

 一般的に、ユニット間で搬送ワークを受けた渡しする箇所で搬送トラブルが多く発生します。そのため、ユニット間の位置決め(距離と傾き)・受け渡しのタイミングの設計が重要です。本システムにおいてもKeiganALIとシューターがワークを受け渡しするため、シューターに対するKeiganALIの停止位置が重要となります。

 そのため、今回はKeiganALI前面の障害物センサーを使用することとしました。KeiganALIの障害物センサーはToFセンサー(Time of Flight)を採用しております。シューターの出入り口でKeiganALIが停止する際に、シューターとの距離をこのセンサーで検出し、シューターに対する位置決めを行いました。本システムの実力値として進行方向に±1mmの位置決め精度となっています。

ワーク接触箇所

 

搬送ワークの把持方法は、重要な検討項目となります。KeiganALI1の台車上に積載されたワークは把持されていないため、KeiganALIが加減速すると取り落してしまうことがありました。そこで、樹脂製のパネル(写真 半透明のアーチ形状のもの)を追加して、搬送ワークと接触させることで摩擦力をもちいて把持することとしました。今回のシステムは段ボールや樹脂ケースを想定しているため、このような手段を採用しました。

 

搬送ワークの把持や搬送時に、落下させないことは勿論、瑕疵をつけないかなど、細心の注意を払う必要があります。さらに、接触箇所や摺動箇所は、摩耗や劣化による形状変更や摩擦力の経時変化が発生します。設計の最低限のお作法として、交換パーツを明確にしておくことが必要であり、高い信頼性が要求されるシステムでは耐久性試験を実施して、期待寿命や交換周期を特定しておくことが必要となります。

 このようにして、展示会出展のための搬送システムを製作しました。また、展示会本番では多くの方にお越しいただき本システムをご覧いただきました。ありがとうございました。

 今回ご紹介しました内容が、お客様のシステム構築のお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人


約20年間、電機メーカーで生産システムの開発、新規事業・新工場の立ち上げに従事。
先進的なロボット開発と伝統的なモノづくりを融合し、新たなムーブメントを起こすべく、2022年からKeiganで活動。
ロボットシステムの導入や営業活動を主に担当。自身の専門分野の幅を広げ深掘りしながら、技術ブログを執筆中。

高橋正樹 | Masaki Takahashi