今回は、愛知県 サービスロボット社会実装推進事業の実証実験を通して感じた課題や所感をまとめます。
病院向けサービスロボットの主な役割
- 搬送:病院内においては多くの搬送作業があります。
①薬剤やカルテ
②飲食物・薬剤容器
③シーツなどの備品
が搬送されています。
この順番にセキュリティレベルが高く、施錠管理・受渡し時ログ管理(誰がいつ何を運んだのか?)・温度湿度管理などが必要となる場合があります。単純に「モノを搬送する」だけではなく、それに付帯する情報や管理が必要となります。
- 遠隔サービス提供:自走ロボットが担当できる役割としては、病院内の道案内や入院案内、病院内の警備や清掃があります。
今回の実証で、Keiganは道案内ロボットとして実証に参加させていただきました。
病院内でロボットが共存するためには
病院内には様々な方々が行き交っています。お年寄りから幼い子供たち、病気や怪我をされている患者さんやそのご家族。日本人だけではなく海外の方々も含まれます。救急患者を運ぶストレッチャーなどなど。
自律走行ロボットが、医療サービスの現場で共存し協働するには、安全を最優先しつつ現場のオペレーションをサポートできなければなりません。
そのためにはロボットには、走行速度や可搬重量などといったカタログスペック以外に、障害物検知時の回避動作や停止動作の挙動、操作のわかりやすさなど、人にやさしい(ロボットフレンドリー)であることが求められます。これは特に、産業用ロボットではなくサービスロボットとして必要不可欠な観点となります。
"全自動"ではなく"半自動"の発想
ロボットは万能ではなく機能上の限界があります。「出来ることと出来ないこと」を明確にし、周囲に知らせることが大切と考えます。安全第一は大前提ですが、安全センサーや搭載するCPUを充実させていくと、システムそのものが重厚長大化・複雑化し、柔軟性が下がりがちです。可能な限り機能をシンプルとしたうえで、限界を晒して、さらに周囲の人に助けを求めるほうが、ロボットと人の協調領域が増え、より協働しやすくなります。製造業の言葉で言えば、”全自動”ではなく”半自動”。人の五感(特に、視覚・聴覚)や高い判断処理能力に活かしながら、単調作業を機械に任せて、システム全体を最適化する発想が、ここでも重要となります。
例えば、自律走行時に障害物を検知して、一時停止しているシーンを想像してください。周囲の人はロボットがどのような状態になっているのか、さっぱりわかりません。ロボットは、いわゆるダンマリ停止の状態であり、周囲とっては邪魔な存在となってしまいます。また、ロボットはいつどのような動作になるのかわからないために、フラストレーションもたまってきます。
そこで、ロボットが「動けないので助けてください」「前の道を開けてください」と敢えて発声してみる。あるいは、走行してきた経路を少し引き返してみるなどの動作を加えるとどうでしょう。人が道を譲ってくれるなどで周囲環境が変わり、走行動作に復帰しやすくなることがあります。
このようにロボット性能は、諸元表に明記できる数値だけではなく、このような動作や機能を加えることで、現場に受け入れやすいロボットに進化できると考えます。
人とロボットの協働できる社会へ
今回の実証実験では、他のメーカー様のロボット・ご担当者の皆様とも相互交流させていただきました。ロボットそれぞれが特徴があり、とても勉強になりました。
各社それぞれの個性を伸ばしていくことで、人とロボットが強調しよりよい社会に変革していくことが実感できましたし、その未来は間近に来ていると感じました。
これからもKeiganは、KeiganALIをさらに進化させるとともに、このような社会実証活動にも積極的に参加していきます。今度ともよろしくお願いします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。