前回は、生産システム全体を検討する際に、”搬送システム”をどのように価値として捉え、方式検討すればいいのかについて考えました。今回は、”搬送システム”のなかの走行ロボット、特に、AGV(Automated Guided Vehicle)・AMR(Autonomous Mobile Robot)にフォーカスし、誘導方式ごとに分類して特徴を整理していきます。
AGV(Automated Guided Vehicle)の特徴
AGVやライントレーサーと言われる有軌道式のタイプです。この中も磁気誘導式と光学誘導式の2分類できます。磁気誘導式は、1950年代初頭から既に実用化されており、現在も最も多く普及しています。床上あるいは床下に設置した磁性体の有無を機体のセンサーによって検出し、その直上を走行します。もう一つの分類は、光学誘導式です。この方式は、床上に貼付したラインテープの有無をセンサーや画像処理によって検出します。センサーや画像処理コントローラの技術進展により、近年は徐々に光学誘導式が増えています。ただし、床上への施工が困難な場合や、床上へのテープが剝がれやすく貼り換え作業の頻度が高い場合には、床下に磁気テープを設置して磁気誘導式を選択します。設置環境に応じて、方式を選択します。
AMR(Autonomous Mobile Robot)の特徴
つづいてAMRと言われる無軌道方式のタイプを細かく分類します。まず、最も代表的なものはSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)方式です。これは、一度生成した地図データと、走行中に生成した点群データを照合させて、機体の自己位置を同定するものです。機体本体にスキャナユニットを搭載し、2次元あるいは3次元的に光軸をスキャンさせて機体から周囲との距離を測定します。この技術はLiDAR(Laser Imaging Detecting and Ranging)と呼ばれます。KeiganALIも本方式を採用し、他のセンサーと組み合わせて自己位置測位を行っています。
複数方式の組合せが重要
この他にも、画像認識・UWB(Ultra Wide Band)・超音波・衛星測位システムGPS(Global Positioning System)を利用したものなど、数多く方式があります。今回紹介しました各方式は傾向を整理したものです。各方式の技術開発と同時に、複数の方式を組み合わせて駆使する技術開発も日々進んでいます。さらに、走行ロボット全体を機能向上させるためには、センサーからの信号処理や、機体の駆動系の制御処理等と同時進行するコントローラーの性能、それらの処理を効率的に実行するソフトウェアのアルゴリズムも大きなファクターとなります。
今回は、誘導方式の観点から走行ロボットを分類しました。SLAM技術について、解説してみたいと思います。
KeiganALIの方式紹介
KeiganALIは、上記のSLAM方式を採用し、オドメトリ(odometry)や他のセンサー情報を組み合わせて、機体の自己位置推定を行っています。
また、光学誘導式のAGVを自作できる、AGVキットを販売しています。ユーザーご自身で、速度設定やカメラのゲイン調整などのパラメタを細かく設定して、用途に最適なオンリーワンのAGVにカスタマイズ可能です。ぜひご参考になさってください。